婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?⑯ ~東京カレンダー風
婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?⑯ ~東京カレンダー風

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?⑯ ~東京カレンダー風

公開日:2025.5.4

※チナミの婚活日記シリーズ

36歳、早稲田大学卒

大手メーカー勤務 

スラッと背が高くロングヘア チナミの婚活日記


前回のアーカイブ

 婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?⑮

あの日の桜並木から、もう2週間。


暖かくなったと思えば

春の雨が降ったり

夜はまだ少し冷え込んだり。

季節のゆらぎと同じように、自分の気持ちもゆっくり確実に動いていた。


今夜は、佐々木さんと表参道の薬膳中華 vegan veggie 嫦娥 (joga)で待ち合わせ。

都内では珍しいヴィーガン中華料理のお店だ。


ちょっと緊張して、でも楽しみで早めに着いてしまった。


佐々木さんは、いつも通りの穏やかな笑顔で現れた。


「ごめん、待った?」

「ううん、私が早く来すぎただけ。」

「ここ緑の麻婆豆腐が美味しんだよ。」

「緑?」


何気ない会話が弾む。


彼がポツリとつぶやいた。


「今日ちゃんと話したいことがあって。」


チナミの心が少しだけ揺らめく。

平然を装い水のグラスに手を伸ばしながら、そっと深呼吸した。


「初めてお見合いしてから2か月くらい経ったかな。

チナミさんと過ごす時間が、本当に心地よくて。

いろんな話ができるし、何より無理をしていない自分でいられるんだ。」


その言葉に、胸がじわじわ温かくなる。



「そろそろ、チナミさんと真剣交際*¹ に進みたいと思ってる。

今までも誠実に向き合ってきたつもりだけど、

これからは将来のことも話していける関係になりたい。

どうかな?」


彼の目は真っ直ぐだった。

ふざけた軽さも、気負ったプレッシャーもない。

ドギマギしながら、チナミは静かにうなずいた。


「うん。

あ、はい。」


口に出した瞬間、なんだか泣きそうになった。


「最近、本当に大事なのは

自然に笑えて安心できる時間なんじゃないかなってわかってきたの。

そんなふうに思えるのは、佐々木さんがはじめてかもしれない。」


彼の笑顔がゆっくりとほどけていく。


「うわあ、嬉しいな。ありがとう。」



婚活って、出会いは楽しいけれど選ばれる不安もつきまとっていた。

「ちゃんと見てもらえるかな」

「断られたらどうしよう」


そんな怖さや恥ずかしさに何度となく辞めたくなった。



でも、こうして通じ合う瞬間がくるなんて。


誰かを信じ、同時に自分を信じる瞬間でもある。



「あっ、改めてお願いします。


真剣交際希望で担当カウンセラーさんにも話さなきゃ。

相談もせず、思わず先走って話しちゃったよ。」

「うん、私もカウンセラーさんに話さなきゃ。

こちらこそよろしくお願いします。」



食事のあとは、表参道駅まで一緒に歩いた。

街灯のオレンジの灯りがいつになる優しく見える。


佐々木さんがそっと手をつないでくれた。

『佐々木さんの手ってあたたかい』


夜風はまだ少し冷たかったけれど、心の中には不思議なぬくもりがあった。


*1 真剣交際 
結婚相談所における、結婚を前提とした一人のお相手との交際のこと。仮交際で複数人と交際していた場合、真剣交際では一人に絞って結婚に向けての準備をしていきます。


これまでのアーカイブ

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?①

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?②

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?③

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?④

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?⑤

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも⑥

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも⑦

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも⑧

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも⑨

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?⑮