婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?⑰ ~東京カレンダー風
婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?⑰ ~東京カレンダー風

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?⑰ ~東京カレンダー風

公開日:2025.5.10

36歳、早稲田大学卒

大手メーカー勤務 

スラッと背が高くロングヘア チナミの婚活日記


前回のアーカイブ

 婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?⑯


駅で佐々木さんと別れたあと、帰りの電車でスマホを開く。

LINEの通知に目がとまった。


遠藤さんからだった。


「こんばんは。


こちらは今、イスタンブール。


次の打ち合わせまで少し時間が空いたので、ボスポラス海峡を見ながら休憩中です。


夕暮れの光が街を染めていて、少し静かな気分になりました。

帰国したら会いませんか?」


淡々と短く整った言葉。


私の知らない異国の空気が感じられる。



チナミの胸に小さなさざ波が起こる。


「交際終了の連絡を、カウンセラーさんにお願いしなければならないんだ。」


明日には担当カウンセラーさんから遠藤さんへ交際終了の連絡が届くと思う。

それを思うと、心の奥に申し訳なさが走った。


異国の地で、ふと私を思い出してくれて嬉しい。

けれどもう、答えを選んでいた。


佐々木さんと話したことを思い返す。


麻婆豆腐の緑色。

彼のまっすぐな目。

「これからは将来のことも話していける関係に」という言葉。


あの穏やかな時間を、私は大事にしたいと思ったんだ。


少し迷ってから、チナミは指を動かす。


「お仕事の合間に海を眺める時間、素敵ですね。


 遠くの空を見ている遠藤さんの姿が浮かびました。


 お忙しい中、メッセージありがとうございます。」


結婚相談所では交際終了と決めたらお相手に自分から連絡する必要はなく、

担当カウンセラーさんが連絡してくれる。


でも、遠藤さんにはちょっとだけ返信しておきたかった。


深く立ち入らず、でも、心を込めて。


それが今の自分にできる、せめてもの誠実なことのような気がした。



送信ボタンを押し

スマホを伏せてゆっくりと呼吸を整えた。


「イスタンブール、かっこいいな。


遠藤さんとなら海外での暮らしも自然にできたのかもしれない。
 
でも、やっぱり私は…」


旅先の遠藤さんの姿を想像して

ちょっと心が揺れたことに罪悪感を感じつつ


私の未来は、佐々木さんと歩いていきたいんだと改めて思った。


“さよなら”の言葉はないけれど、
ちゃんと自分の気持ちには向き合えた。


ホームに降りると夜風が静かに頬をなでて通り過ぎていった。




これまでのアーカイブ

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?①

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?②

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?③

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?④

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?⑤

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも⑥

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも⑦

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも⑧

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも⑨

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?⑮

婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?⑮

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