婚活日記 お見合いは続くよどこまでも?⑳ ~東京カレンダー風
36歳、早稲田大学卒
大手メーカー勤務
スラッと背が高くロングヘア チナミの婚活日記
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佐々木さんと“住む場所トーク”を交わした翌週。
月曜の朝、私はいつも通り出社した。
だけどなんとなく心は落ち着かなかった。
昼休み、スマホを覗く。
「おはよう! 今日はいい天気だね。」
昨日の朝のメッセージに彼の既読は付いているのに返信がない。
いわゆる既読スルー。
13:05 既読のみ
15:42 変化なし
『忙しいのかな。
私だって仕事中に遅れることはあるし。
うーん、でも前はもっと早かったような?』
“既読モヤモヤ”という、婚活あるあるな邪念が胸をチクチク刺してくる。

夜、になっても返信は来なかった。
帰宅前に ミサキに愚痴LINE。
『今後住む場所のことで佐々木さんとちょっとすれ違ったの。
既読スルーなんだけどこれってヤバイ感じかな?』
すると秒で電話がかかってきた。
「チナミ〜、うんうん気持ちわかる!でもさ、男の人って“近づいた分だけ油断して返信止まる”ことあるよ?」
「えっ?油断して返信止まるの?」
「あるある。話してくれてるだけで誠実レベルだよ。」
笑い交じりの「大丈夫だって」
という声に少し肩の力が抜けた。

翌日、担当の婚活カウンセラーさんにオンライン面談をお願いした。
私は“既読モヤモヤ案件”を報告した。
「気になりますよね。気になるなら素直に聞いてみたらいいと思いますよ。
我慢して不安や想像を膨らませるより、聞いて確かめる。
これから一緒に歩んでいく人なのだから、ひとつひとつ確認していきましょう。
それが大人の真剣交際です。
これも話し合いの第一歩ですよ。」
“言わないで耐える”ことが大人だと思っていた私は、ハッとした。

水曜の夜、仕事を終えた彼と丸の内で合流。
東京駅のライトアップを眺めて歩きながら、意を決して切り出した。
「あの、この前からLINEの返信が少し遅いの、気になってて。
何か気に障ること言っちゃったかなあ?」
「えっ?あっ、ほんと? ごめん!
仕事が立て込んでて、メッセージみたけどそのまま忘れてたかも。
チナミさんが気にしてたなんて全然気づかなかった。」
彼は額に手を当て、しょんぼりごめんなさいポーズ。
「むしろ僕のほうが、住む場所の話を引っ張りすぎたかもって気にしてた。
便利さばっかり考えてたけど、郊外で緑の多い所もいいなって。
昨日、物件サイト見てみたんだ。」
「えっ、あっ、そうだったんだ」
驚きと嬉しさが、一度に胸に押し寄せる。
「早く言えばよかった、、、」
私たちはベンチに腰掛けて
お互いの
「譲れるポイント」
「譲れないポイント」を
ゆっくり言葉にしていった。
夜風は少しひんやりしたけれど心は不思議とあたたかかった。

帰り道、彼から届いたメッセージ。
「今日は話してくれてありがとう。
連絡、ちゃんと気をつけるね。
そして“静かで緑がある場所”もリサーチしてみる。」
“すれ違い”じゃなかった。
“近づいた”からこそ起きた、ちいさな戸惑い。
勝手な空回り。
対話すれば、不安は安心に変わる。
そんな当たり前のことを、今日は身をもって知った。
『エスパーじゃないから、言葉にしないとわかんないよね。』
少しずつ、だけど確実に
ふたりの未来へ踏み出す一歩がまた増えた。
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