慶応の先輩と伝説のBarラジオ
慶応の先輩と伝説のBarラジオ

慶応の先輩と伝説のBarラジオ

公開日:2023.1.22

世間では早慶戦(慶応大学生からすると慶早戦らしい)とか言ってるので

ライバル同士バチバチなのかのように思われがち


しかし、比較はよくされるものの実は学生間で交流が多いし

意外と仲がいい


私も学生時代には早慶のサークル同士で年に2回ほど行き来していて

仲良く交流していた


慶応大学の三田キャンパスのそばには

有名なラーメン二郎本店があり

交流時間より早めに三田キャンパスに行って

先輩と行列に並んでラーメン二郎で食べるのが恒例だった

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早稲田と慶応

そりゃ学生カラーが違う


慶応の女子学生は慶応は格段におしゃれだしかわいい


早稲田は男女ともよく言えば素朴

男女対等なのはよかったけれど

花の女子大生なのに雑に扱われるという欠点が、、、


やはり慶応はスマートでエスコート上手な男性が多かった

早稲田では味わえない女子大生チヤホヤ感もあった


そんな慶応大学の先輩の中に

大学1年生で化粧もまだ慣れず

パンプスも上手く履けないのでスニーカーという

どんくさい田舎から出てきた冴えない女子大生の私を不憫に思ってくれたのか


「いろいろ俺が連れてってやるよ」


と言って誘ってくれる奇特な先輩がいた


日本酒を水のようにごくごく飲みほしてしまう私に

「日本酒はチビチビ味わって飲めよ」

「これとこれは強い酒だからゆっくり飲め」

とかお酒の飲み方

オーダーの仕方とか教えてくれた

alcohol alcohol bottles bar beverage


ある日

「今日は特別なところに連れて行ってやろう」

と言ってタクシーに乗って出かけた


「学生でタクシーかあ。電車じゃないんだ~」

とかそれだけで感動していたものの

タクシーは迷路のような路地を入っていく

自力で2度目は来れそうもない複雑な道のり


車窓から「青山」の表示は見えたので青山近辺だったと思う


しばらくすると隠れ家のようなお店に着いた

alcohol architecture bar beer


重たそうな木のドアをあけると

細長い薄暗い空間が広がっていた

天井は星空っぽくライティングされていた


長細いカウンターに腰掛けるだけでももうドキドキ

こじゃれたバーテンダーさんが微笑んでいた


なんか大人な世界だなと

おしゃれ過ぎて田舎者には緊張しかないし

どう振舞っていいのかもわからない


「何飲む?」と言われて

「正直にさっぱりわかりませんけど、珍しいカクテルが飲みたいです」

とそんなに気が利いてもいない返答をした


シャカシャカと心地よいリズムでシェイカーが振られている

しばらくして逆三角形のおしゃれなカクテルグラスに入れられたのは赤い液体

assorted alcohol drinks in elegant glasses placed on table


ドキドキしながら口に運ぶと

スイカの味がした


「スイカのカクテルですか?」


とても甘くて

地元でよく食べていた太陽たくさん浴びている濃厚なスイカの味がした


私に故郷を思い出させる粋な演出なのだろうか?と思いつつ

飲み干すのが惜しかった

あの味はいまだに忘れられない


社会人になって自腹でバーに行けるようになって

何度か「スイカのカクテル」をオーダーしたが

どこも断られた


実はスイカでカクテルを作るのはかなり難易度が高いらしい

そういえばスイカでアイスバーを作るのも結構開発に時間がかかったと聞く


のちのち慶応の先輩に連れて行ってもらった大人のバーが「ラジオ」という名前だったと知る


知る人ぞ知る伝説のバーで

バーデンダーの方も著名人に愛される有名な人だったらしい


20代の学生の分際でよくあんなとこ連れて行ってくれて

お坊ちゃまだったのねと思う


単なる気まぐれだったと思うけれど

先輩のおかげでいろんな遊び方とか

お酒の飲み方を覚えることができた


やはり場数は大事だ


先輩からはそこそこで連絡は来なくなったけれど

あの赤い「スイカのカクテル」は記憶にとどまり続けている


またいつか飲んでみたいなあ


そうしたらドキドキしていた純粋な学生時代にちょっとだけタイムスリップできるような気がする