入院しました① ~結婚の醍醐味
入院しました① ~結婚の醍醐味

入院しました① ~結婚の醍醐味

公開日:2024.3.11

「病床六尺*、これが我が世界である」

正岡子規は病に臥せってこんなことを言った


片手に点滴を打ったりしていると

ほんの数センチ目の前のカーテンがうまく開けられない


娘を帝王切開で産んで以来の入院


それもなんと「虫垂炎(盲腸)」

emergency signage


変なお腹の痛み方だなあと

近所のかかりつけ医に行くと


「虫垂炎ですね。よくここまで歩いてきましたね。」

「えっ?」

「手術できる病院に紹介状書きますよ。このまま即タクシーで向かってください。」

「家帰れます?」

「緊急ですから、帰れませんねえ。」

と着の身着のままタクシーに乗せられ大型病院へ

panning photography of yellow taxi


CTスキャンやらレントゲンやらで

「虫垂すでに破裂してますね。」と冷静に告げられたものの


「手術ですか?手術ですか?怖すぎる」と

一人で騒ぐ


さすがに座っていられなくなり

救急外来のベッドに寝かされる


私がつい前日にネイルをしたばかりなのに

「手術となったらネイルとってもらいます。

それお店じゃないととれないやつですかね~。」

とか救急医がこれまた怖い話をしている


『ううう、1万円くらいかかってるんだけどな』

すべてがビクビクである


「大人もかかるんですか?」と言ってきた知人もいたが

感染症なので老若男女関係なくかかるらしい


しばらく待っていると

主治医となる先生がやってきて

「あ~、まだ虫垂ついてたら腹腔鏡手術でちゃちゃっと切って2泊3日で退院できたのに。

全く気付かなかったんですか??

今は破裂しちゃってると医療トラブルになるので

手術はしないで点滴と薬で散らすんです。

1週間の入院ですね。」


「え~。でも手術なしならいいです。」


こんな時でも最初に浮かんだのは

化粧落としたいから化粧水とかクレンジングとか持ってきてほしいなあ

パパわかんないだろうな

が女心である


「どのタイプの病室にしますか?」と聞かれ

すかさず「オンライン会議のできる部屋で」と答えるワーカホリック

「じゃ、個室ですね」

『保険おりるからいいかな~』と思わず

「はい」と内心プルプルしながら答える


夫に電話をかけて

「個室入っていい?」

「保険おりるんならいいよ」

と言ってくれた時こそ

この人と結婚しといてよかったと実感したのは秘密にしておこう


こうして始まった1週間の入院生活 

つづく


*1尺=約30㎝